キーボードの基礎知識あれこれとカスタムキーボードについてのお話

キーボードの基礎知識あれこれとカスタムキーボードについてのお話

キーボードはただの入力装置であって、特にこだわりも無いし安くて文字が打てれば何でも良い。
一般的にはそれが当たり前の考えでしょう。

ですが世の中には沢山の種類のキーボードがあり、自分の好みや用途に最適な物が必ずあります。
用途にあった物をしっかり選ぶことで日常使いや業務での利便性はもちろん、見た目や打ち心地が好みの物を使えば愛着も湧きますし、QOLが上がります。

  • 「Fキーは必要だけど横幅はコンパクトにしたい」
  • 「とにかくコンパクトが良い」
  • 「Fキーは不要だけどカーソルキーは欲しい」

こんな願いも、全て叶います
特に日常的にキーボードを使うよ、という方は是非拘りを持ってキーボードを選んで欲しいと私は思います。

カスタムキーボードこそが至上という訳では無く、各々に最適なキーボードがあると思いますので、そこに進む前に、まずはキーボードの基本的な知識や様々な違いをおさらいしておきましょう。
入力方式、配列、サイズと色々な違いがあり、知ることで今後の“キー活”がより一層楽しくなりますよ。

りたーん

色々書いてたらそこそこ長くなっちゃったので「カスタムキーボードの事だけ見たいんじゃ!」という方は目次から飛んでください。

目次

そもそもキーボードに種類があるの?

キーボード、と一口に言ってもその種類は多く、現状主に使用されている入力方式の違いで大別すると2種類、更に細かく分けると4種類あります。
また、サイズの違い、レイアウトの違い、配列の違いとその種類は多岐にわたります。
今回は簡単に違いを紹介します。
ただし、キーボードに関連する事はほぼ全て好みの問題であり、ああしろこうしろ、アレが良いコレが良いと強制する事ではありませんので、今後の記事でもそうですが私の発信する情報は参考程度に読んでいただくと良いかと思います。

メンブレンタイプ

・メンブレン式キーボード

PC購入時に付属で付いてくるものや、その他ショップ等で安価に購入できるタイプは基本コレ。
一枚のシートスイッチとラバーカップやラバードームと言われるゴム製のシートを使って入力する。

製造コストが安く、安価に大量生産できる為めちゃくちゃ安い
使われているゴムも安価なものが使われていることが多く、耐久性に難があり打鍵感はお世辞にも良いとは言えない

更にスイッチ部が一枚のシート状のため、一箇所壊れたらその一点を直す、ということが難しくほぼほぼ買い換えになる。
とにかく値段が安い、薄型に出来る、という利点はあるが打鍵感や打鍵感に拘るならあまりお薦めはできないです。

・パンタグラフ式キーボード

パンタグラフとは読んで字の如く、キーキャップの下に電車の屋根でよく見るパンタグラフのような形をした支持構造を持つキーボードです。

支持構造の違い以外は基本的に前述のメンブレン式と同様にシートスイッチが使われているので打鍵感はほぼ同じ、支持構造があるので安定感があり、キーキャップの端の方を押してもあまりグラつくことなく打鍵できる。

主にノートPCのキーボードに使われており、薄型に出来ると言う利点をうまく利用したキーボード。
難点は掃除が大変なこと、パーツが細かく割とすぐ折れたりするので分解して清掃するのは辞めておいた方が吉。

メカニカルタイプ

・メカニカルキーボード

メカニカルキーボード
独立したキースイッチが付いているメカニカルキーボード

上の写真のようにキーの一つ一つに独立したキースイッチが付いているキーボード。

このスイッチの中に金属の板バネが入っていて、それが下の基板に接地している。
キーを押し込んだ時に板バネが接触して導通することにより入力が感知される仕組み。

一般的には旧CHERRY社のCHERRY MXというスイッチが有名、スイッチの種類別に赤軸(リニア)、茶軸(タクタイル)、青軸(クリッキー)と言われるのはこのスイッチの軸(上の写真で言う十字の所)の色が元ネタ。

分解してスプリングを交換して自分好みの押下圧に変更したり、ルブと言われる潤滑剤を追加で塗って打鍵感や打鍵音を更に向上させることが出来る、ただし非常に時間が掛かり、人によってはかなりの苦行となる。

現在では様々な会社から無限にも思えるほど大量のスイッチが日々発売されている、本当に無限にありすぎて追いかけ始めると大変なことになる。

スイッチが独立しているので一箇所が壊れてもスイッチを入れ替えるだけで大体直る、物にもよるが分解が容易なので清掃が楽という利点がある。
スイッチの構造上しっかりとした底打ち感があり、打鍵感や打鍵音に拘れる所も沼ポイントが高い。

難点は構造が若干複雑になるためコストが高く、故に値段が高くなる事。(大体1万円以上)

・静電容量無接点方式

こちらも分類的にはメカニカルキーボードに属するキーボードであり、東プレのREALFORCEシリーズやPFUのHHKBというあまり詳しくない人でも名前くらいは聞いたことがあるキーボードがこのタイプ。
この2つは高級キーボードの代名詞として有名ですよね。

最近ではチラホラとこのタイプのキーボードを製造、販売する新しい会社も出てきてはいますが、まだまだこの2社の牙城は崩れないでしょう。

入力方式としては、キーを押下した時に発生する静電気を感知して入力する仕組み、押下圧(キーを押す時の重さ)が軽めで静音性にも優れ、独特の打鍵感となにより物理的な接点がないので他の方式とは比べ物にならないレベルの耐久性を誇る、平気で10年故障無しで使えたという話もよく聞きます。

難点という難点は特に見当たらないほど優秀だが、3万円前後の値段が唯一の難点といえるが耐久性を考えると割と良心的な値段な気もする。

りたーん

手軽に適当に使いたいなら安いメンブレン、持ち運んだりするなら薄型のパンタグラフ、打鍵感や打鍵音に拘りたいならメカニカル、耐久力や独特の打鍵感を味わうなら静電容量無接点
と言った具合に、自分の使用用途や好みに応じてキーボードを選ぼう!

配列について

キーボードで“配列”というと少しややこしいのですが、キー配列の違いに加えて、物理的な配列の違い、更には論理配列等があります。
ここではキー配列と物理配列について説明します。

キー配列

日本では基本的にJIS配列(日本語配列)とUS配列(ANSI)の2種類が使われています、ISO配列という配列もありますが、こちらはヨーロッパで主流の配列で今のところ日本ではあまり見かけることはないです。

当たり前ですが日本では日本語を入力するのに便利なキーが搭載されているJIS配列が圧倒的多数です、ちなみに「かな入力」を極めると意味不明な速度で日本語の入力ができるらしいです。

一方US配列では英語での入力が前提なので半角/全角・無変換変換・カタカナ/ひらがな等のキーは当然ありません
また記号の位置やエンターキーの形、スペースバーの長さがJIS配列とは異なっています。

こう見るとJIS配列からUS配列への移行は難しそうに思えますが、半角全角の切り替えが少し面倒(ソフト等で対応可)なくらいで、記号の位置も慣れてしまえば逆にUS配列のほうが押しやすいと私は思いました。
更に実用面ではありませんが、キーキャップを手軽に変えられるようになったり、キーキャップの印字が英語のみでシンプルで美しい事、横長のエンターキーで指が届きやすい等結構なメリットもあります。あとカッコいい。

カスタムキーボードの世界に飛び込むなら強制的にUS配列になります、日本で作られてない以上当たり前ですね。

物理配列

物理配列も厳密に言うと2種類あり、単純にキーの個数の事を言っている場合と、物理的なキーの配置の事を言っている場合があります。
後者は人間工学に基づいて斜めにキーが配置される等、物理的なキーの配置について言われるパターンです。

ここで主に説明したいのは前者の物理的なキーの個数の違いで、キーボードと言って大体の方が思い浮かべるであろう物はフルサイズと言って、基本の英数字に加えて、Fキーやテンキーなど全てのキーが付いているキーボードです。

キーボードのサイズの違い
物までの距離を統一出来ていなくてサイズ感が少し分かりづらくなってしまい申し訳ないです。。。

ちょうど手持ちにある程度揃ってたので並べてみましたが、サイズ差が凄いですね。
キーボードのサイズは、フルサイズ(右下のキーボードにテンキーを)のキー数(101/104)を基準に61キーだから60%等フルサイズ比でのキー数をもとにサイズ分けされています。

以下に簡単な説明を載せておきます。

TKL・・・フルサイズのキーボードからテンキーを省いたもの
75%・・・TKLの右側2列を削って最下段の配置を変えてカーソルキーを左側にずらしたもの
65%・・・75%からFキーを省いたもの
60%・・・65%から右側1列とカーソルキーを省いたもの


世の中には更に数字行まで消し飛ばしてしまったものもあり、極限まで削り取ったどうやって入力するのかよくわからない面白いキーボードが沢山あります、流石に自分では扱えないので入手することはないでしょうが、見る分にはとても小さくて可愛いです。

私個人は65%キーボードが好みです、deleteキーと独立したカーソルキーを持った上でコンパクトなサイズに収められていて私にとっては一番使いやすいサイズです。

カスタムキーボード

そもそもカスタムキーボードって何?最近よく聞く自作キーボードとは違うの?
何も違いません、本質的には同じです。(同じだと私は思っています)
カスタムキーボード、という呼び方は海外のもので既製品、もしくはその改造品ではないキーボード、と定められているようです。

日本ではテレワークの増加もあってキーボード、特に負担を減らせるような分割型のキーボードが注目されてきています。
これを指して自作キーボード、と呼ぶ事が多いように思いますが、自作PCと同じで自分で部品を購入して組み立てる、という事自体は変わらないので、私個人としては”自作キーボード”という呼称で問題ないと考えています。

日本では自作キーボード、という括りの中に一体型と分割型の2種類が存在するので、普段一体型を指す場合にはカスタムキーボードと呼ぶようにしています。
ですが通りが良いのは自作キーボードの方なのでブログ内では自作キーボードと呼ぶことが多々あるかと思われます。

前置きが長くなりましたが、いよいよ本丸カスタムキーボードです、構造としては上でも説明したメカニカルキーボードと同じです。
一般的なメカニカルキーボードとは異なり、ケースやスイッチを固定するプレート、基板等が一纏めになった”キット”と呼ばれるものを軸に、お好みでスイッチやキーキャップを購入して自分で組み立てる物がカスタムキーボードです。

ケースも既製品でよく使われるプラスチック製ではなくアルミ製の物が多く、真鍮や銅と言った比重の高い金属を用いて追加で重量を増やし、安定感や打鍵音に拘った物が多いです。

キーボードのみならず、音の出るものは周りの物体の重さや密度に大きく影響されます、無駄な反響音や雑音が減るので、基本的にケースは重ければ重いほど良いとされています。
更に雑音を減らす為や音に特徴を持たせる為にPORONやEVA、PEと言ったフォームの類を使用することもあります。
※フォーム類は賛否あり、設計のいいケースではフォームがなくても十分いい音が出るという人もいます、私もそう思っています。

キースイッチも前述の通り把握も出来ない程数多くのスイッチが世に出回っています、スイッチを固定するためのプレートもアルミ、真鍮、FR4、ポリカーボネート、POM、カーボンファイバーと全てを選択できるわけではないですが数が多く、これだけでも無限に思えるほど選択肢が多く、情報がなければ一歩目を踏み出すことすら容易ではありません。

そして大体のキーボードキットは海外からの購入になる上、GroupBuyという普段あまりお目にかからない販売形式が取られる事が多く、ますます購入へのハードルが高いと感じます。

一番のネックがその費用です、もはや趣味に近い物なのでお金がアホほど掛かります

↓カスタムキーボードを手に入れるための大凡の費用概算↓

キーボードキット:エントリークラスで2万~3万、ミドル帯で~6万、ハイエンドともなると10万を超えてきます。
スイッチ:キーボードのサイズにも依りますが大体6千円から1万円程度
キーキャップ:これはピンキリで5千円程度の物から2万円超えまで様々あります
スタビライザー:スペースキーやシフトキーに使います、2千円から3千円程度


ぱっと見だけでもヤバいですね。
エントリークラスと言われるものでも基本的に一つ完成させるのに5万くらいは掛かります。
削れるところを削りまくっても3万で済めば良い方ではないでしょうか、闇が深いです。

更に海外からの購入が基本になりますので送料が重くのしかかって来ます、ショップによりけりですが$10程度から$30超え、それ以上を要求してくるショップもあるのでショップ選択は大事です。

とまぁ掛かる費用はかなり大きいですが、アルミ製のケースは高級感があり、自分の気に入ったスイッチを使い、合う色のキーキャップでお化粧したキーボードは所有欲を満たし、高い満足感を与えてくれます。
仕事、もしくは日常生活でもキーボードを良く使うといった方は更に毎日が楽しくなることでしょう。

私のおすすめは断然このカスタムキーボードです、好みを探して、試行錯誤を繰り返していくのは楽しくて仕方がありません。
楽しさと反比例して財布は軽くなっていきますが・・・

まとめ

入力方式は4種類あってそれぞれにメリット・デメリットがあるからよく考えて選ぼうね
キーボードには色んなサイズ、配列があるよ
オススメは断然メカニカルキーボードだよ
カスタムキーボードは最高だけど中々にお財布に負担がかかるよ
自分の用途や好みに合ったキーボードはQOL爆上がり間違いなしだよ

という所で今回で基本的な事は書けたと思うので、次回からはカスタムキーボードのお話に的を絞って作り方購入場所、スイッチのお話など書いていけたら良いなと思います。

拙い文章を最後まで読んでくれてありがとうございます。次回の記事でまたお会いしましょう!

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